天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「俺高校んとき、美術選択したんだ。なんでか分かる?」


永瀬からの質問。
やっぱりコイツはいつも突然。
予測不能な男だ。


「いや?」

「すんげー美人の先生でさ、そんときは24歳だったかな?もちろん独身でさ。友達に誘われて選択したんだ。」


美人な独身教師。
年も若い。
そりゃぁ、惹かれるよな。
うん、俺もその立場だったら選択するかも…。



「だけど、俺絵なんか全く興味もないし、描けねーわけ。先生も失礼な話、見飽きて授業適当に受けてたんだよな。ねみーなぁーって思って窓のほう見たらさ、里緒のクラスがよく見えたんだ。授業うけてる里緒の横顔。クラスも学年も違うから、そんな姿ぜってー見れねー思ってた。それ以来かな、美術の時間が楽しくなったのって。」



テスト前は部活のみんなで集まって、図書室で勉強したこと。
部活が延びて遅くまでかかったとき、里緒を家まで送ったこと。
里緒が差し入れにくれたパウンドケーキを、本当は独り占めしたかったこと。



永瀬の口から、小さな思い出が次々と出てくる。




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