天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「俺さ…、自分に自信なくって、言えなかった。里緒との関係壊したくないって思って。だけど諦めきれなくてさ。やっぱ、どこかで期待してた部分もあったんだ。里緒が『好き』って言ってくれるのを…。結局、俺達の関係は変わることなかったんだ。」



そこに彼女から卒業式の日に告白された永瀬。

“前に進まなければいけない。”
“里緒への思いを断ち切らなきゃ…。”

そう思い、彼女からの告白を受け入れたと。



彼女と一緒に過ごすようになり、彼女が永瀬を好きだという気持ちが痛いくらい伝わってきたんだと。

永瀬は、そんな彼女の気持ちに答えようと、『好きにならなきゃ』と努力した。


だけど…。



「だんだん、気持ちにズレが出てきたんだ。光莉が里緒にしたことを知ったの、大学1年夏だった。俺は光莉のこと問い詰めなかったし、里緒に自分の気持ちを伝えることもしなかった。そんときに、俺がちゃんと言えば、こんな結果にはならなかったんだよな。結局さ、偽善者なんだよ、俺…。」



永瀬の話を聞いてて、敦史と実沙希のことを思い出した。

そうだ…。
自分が我慢すればいいってカッコつけて。
俺も、偽善者だったのかもしれないな。


あのクリスマスの日、きちんと自分の気持ちを言えば、敦史ともちろん実沙希とも、今とは違う関係になれたのかもしれない。



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