天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「里緒って、不思議な子だよな。」


永瀬がポツリと口にした。

不思議って…?



「芸能人みたく、とびっきり美人でもカワイイわけでもないのに、惹きつけられる。目が離せなくなって、心も体も全部持ってかれる。一目惚れだったんだ。」

「……分かるな、その感じ。俺ん中で里緒って、ふわふわしてて…なんか“わたあめ”みたいな子なんだよな。」

「あー、うんうん。そうだなー。わたあめねー。美味そうだなぁ。里緒ってちっこくって柔らかいし。」


俺の“わたあめ”発言に共感する永瀬。
共感してくれるのは嬉しいんだけど、ちょっと気になる。
あの言葉。



「柔らかい?」

「あ、言い忘れてた。告白したとき、里緒のこと抱きしめたんだ。」



だっ、抱きしめただと…?
仮にも人の彼女を。
そんなサラッと言ってくれて。
おまけに美味そうだなんて。

俺は精一杯強がって、


「食べさせる気、全くないんですけど。」

「強気発言。なら、証明させてくれよ。夏目とは違う意味で、里緒は大切な女の子なんだ。泣かせたら……、真っ先に奪ってやる。」


いつもの人懐っこい永瀬の笑顔が目の前にある。

誓うよ、永瀬。
俺は…。



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