天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
里緒と2人っきりの時間。


今日も、里緒が作ってくれた弁当を一緒に食べる。

弁当の中身はもちろん、あの甘い玉子焼きが入ってる。
亡くなった母さんがいつも作ってくれた、思い出の玉子焼き。
里緒の玉子焼きと、母さんの玉子焼き。
とてもよく似ていて、胸に沁みる。

俺がリクエストして、いつも玉子焼きを弁当に入れてくれる。

不思議だよな。
いつも食べるんだけど、飽きることが全くない。

むしろ、毎日食べたいくらい。

毎日…。

うん、食べたいよなぁ。



好きな子と過ごす時間は、あっという間に過ぎていく。

好きな子と食べる食事は、有名シェフが作る高級料理にも敵わない。




俺達は構内に戻り、部室へ向かった。

部室のすぐ手前で、里緒の足が止まる。


「あ!忘れ物しちゃった。遼くん、先行ってて。」

「俺も一緒に行こうか?」

「ううん。1人で大丈夫。」




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