天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
里緒の後ろ姿を見送る。



俺は1人部室に入り、里緒が来るのを待っていた。

テーブルの上に置いてある雑誌を、ペラペラとめくる。
この時期になると、たいていコレなんだよな。


“クリスマス特集”かぁ…。


里緒のお母さんには言ったけど、肝心の里緒にはまだ言っていないんだよなぁ。


『クリスマス、里緒と一緒に過ごしたい。』



クリスマス特集には、デートスポットのイルミネーション特集が載っていた。

こういうのもアリだけど、“俺と里緒らしいクリスマス”、過ごしたいよな…。




カチャ。

俺の後ろで、ドアが開く音がした。



「早かったな。」

そう言いながら振り向くと、そこには俺が待っていた女の子はいなく…。



「そんな驚いた顔しないでよ。幽霊でも見たみたいに。……誰と間違えたの?」



五十嵐が立っていた。


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