天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「どうしたの?さっきから変だよ?」

「え…?そうかな…?」

「ねぇ、夏目くん…。今、何時かな?」



右手で腕時計を触りながら、時計の針を見る。



「えっと、今は…。」

時間を答えようする前に、五十嵐が喋りだした。



「それって、夏目くんの癖?」

「ん?なんのこと?」

「腕時計見るとき、必ず触るよね。大事そうに、優しく…。」




五十嵐に言われて、初めて気づいた。


あぁ、そうかもしれない。
無意識にしていた、俺の動作。


俺の左腕に、心地よく納まっているこの腕時計。

里緒から、20歳の誕生日に貰った腕時計。


誕生日を里緒と一緒に過ごせるってだけで、嬉しかった。

誕生日ってことは里緒には伝えてなかったのに、予想外の里緒からのプレゼント。
照れて、自分が想っていた気持ちの半分も里緒に伝えられなかった。



大切なプレゼント。

俺は、大切な里緒に触れるみたいに、腕時計を触るようになっていた。



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