天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
五十嵐に、ちゃんと俺の気持ちを言おう。



「五十嵐は、すごく魅力的な女の子だと思うよ。かわいいし明るくて、場の雰囲気とか盛り上げてくれて、話しやすいし。きっと…自慢の彼女になると思う。」

「それじゃあ…。」

「もしも高校生のとき出会っていたら、五十嵐のことそういう感情で見れたと思う。だけど…、今の俺には、五十嵐のことは友達としか見れない。」

「………………。」

「出会うタイミングが違ったんだよ。」

「どういうこと?そんなんじゃ分かんないよ!!」



俺は実沙希とのことを話した。

高3のクリスマスの出来事。
あのことから、俺はずっと前に進めなかった。

いや、進もうとしていなかったのかも。

全てが面倒くさくなって。


女の子と接することを避け、五十嵐と向き合う道を選ばなかった。



新しいことをしようとする気持ちが全然起きなかった。

ただ毎日、漠然と時間だけが流れていくだけだった。




そんなとき、俺は里緒と出会った。


ふわりふわりと舞い落ちる、桜の花びら。

ゆっくりと、ゆっくりと…。


まるで、俺の心を優しくくすぐるみたいに。



決して、ドラマチックな出会いではないと思う。


だけど、あのタイミングで里緒と出会えたことは、それが俺の運命だったんだよ。



『里緒と恋をする』って…。


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