天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「夏目くん…、変わったね。あたし、1年以上近くにいて頑張ったのに、夏目くんの心、全然動かせなかった。時間でも距離でもないんだね。『里緒ちゃん』だから…なんだね。」

「五十嵐、俺さ…。」

「もう誤らないでよ。余計…、辛くなる。」



だんだんと、五十嵐の瞳が潤んできたような気がした。

声もなんとなく、鼻声のような…。



もしかして、涙ぐんでる?




「さっき言ったこと…忘れて。夏目くんの気持ち、聞けてよかった…。」


目を押さえ、方向を変えようとした五十嵐は、そばにあった椅子にぶつかり転びそうになった。



「危ない。」


その光景に、俺はとっさに手を出した。

間一髪。

五十嵐は転ぶことなく、俺の腕の中にいる。


これって、まるで…。





「あれ?いたんだ。」


ドアの方から声が聞こえる。
だけど、声が遠くて誰だか分からない。

分かるのは、女の子の声っていうだけ。





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