天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「そんなところに立って、なにしてんのよ。早くドア開けてよ。」


その声と同時に、勢いよく部室のドアが開いた。



「え!?な、夏目…先輩?なに…してるんですか…?」
「やだ、見られちゃった…。」


声の主は原田ちゃん。

その原田ちゃんと、五十嵐の声が重なった。


原田ちゃんが驚くのも、無理はない。
だって、傍から見ればこの体勢。



俺が五十嵐を抱きしめてるようにしか見えない。


そして、驚いている原田ちゃんの隣には。


無言のままで里緒が立っていて、俺と五十嵐をじっと見ていた。





「里緒…。」


俺の声がきっかけになったのか。

話しかけた瞬間、里緒が走り出した。



「里緒!!」

声をかけるも、里緒の足は止まることはない。
里緒の背中がどんどん小さくなっていく。



「五十嵐、悪いけど気持ちには答えられない。これが俺の答えだから。」


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