天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「もしもし?」

『あ、里緒ちゃん!?よかったー、繋がって。」



電話から漏れてくるこの声。

声の主は、メリーゴーランドのオーナー・水野さん。
黒ぶちメガネがトレードマークだ。


それにしても、デカイ声だな。

普段の水野さんって、どっしり構えてるというか…。
とにかく、落ち着いている。

無条件で頼りになる兄貴って感じ。


そんな水野さんが、こんな声出すなんて。

声のトーンから、なんだか切羽詰った感じがする。



「あの、どうしたんですか…?」

『申し訳ないんだけど、今からバイトに出てもらえないかな?』

「え?い、今からですか?」

『急で、本っ当にゴメン!大久保さんと渋谷が食中毒になって、入院したんだ。』

「食中毒って…、もしかして朝のニュースでやってた焼肉屋さん?2人は大丈夫なんですか?」

『そうらしいんだ。あ、2人は2~3日で退院できるって。キッチンはつかまったんだけど、ホールの子が誰もつかまらなくってさ。頼みの拓馬も、今日は親戚の子の面倒みなきゃいけないらしく、断られたんだ。どうしても、出れないかな?』

「……………。」





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