天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
メリーゴーランドに着いたのは、開店の10分前。


里緒は急いでユニフォームに着替え、開店の準備をする。

そんな里緒を横に、俺はいつもの席に座っている。



もちろん今日が里緒の誕生日ということは伏せて、水野さんに事情を説明して店の中で待たせてもらうことになった。


そして『いつもの席』というのは、カウンター席の1番奥。
左側が大きな窓で、やわらかい日差しが入ってくる。

その隅には籐のカゴが置いてあり、その中にはふわっふわな白い毛並みの猫が丸くなって、気持ちよさそうに眠っている。


この店の看板猫・マシュマロ。



俺の姿を見ると、マシュマロが足元に擦り寄ってきた。

「マシュマロ、元気だったか?」

「うにゃーん。」



カフェオレを飲みながら、マシュマロと遊ぶ俺。

ランチタイムに突入したから仕方ないけど、店内がどんどん混んできた。

カウベルが鳴り響き、お客さんが途切れることなくやって来る。

カウンターの端に座ってるのも心苦しいくらいだ。


そんな光景から思わず、こう言ってしまった。


「あの…、よければ手伝いますか?」


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