天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
「あら、やだ。里緒ってば、そんな怖い顔して。今日の主役なのに。」

「主役って…。今日の晩ゴハン、遼くんに合わせて作ったでしょ?」

「えー?なんのコト?たまたまよ。ほら、サラダには里緒の好きなエビとアボカドが入ってるじゃない。ケーキも、イチゴのタルト買っておいたし。しかもホールサイズ♪」

「………先週、ビーフシチューだった。」

「そうだった?やだわぁー、物忘れが多くなったのかしらねぇ?」

「もぉー。じゃあ、ビーフシチューはいいけど…。」




もう1度、交互に俺とおばさんを見る。





「なんでお母さんが遼くんの隣に座ってるのー?」




そうきたか。

里緒の言うとおり、俺の真正面に里緒がいて、左隣におばさん。




「里緒ばっかり、夏目くん独り占めしてずるい。」

「私の彼だもん!それに、お母さんにはお父さんがいるでしょ!?」

「里緒のケチ。束縛する女の子、嫌われるわよ。ねぇ、夏目くん。」

「束縛じゃないもん!でしょ?遼くん!!」




里緒とおばさんが同意を求め、俺を見る。

2人の熱いまなざしに対し、俺はというと…。



「ははははは。」


笑い出してしまった。

2人のやりとりは親子じゃなくて、まるで姉妹のようだ。

こんな俺でよかったら、いつでも取り合って欲しいって思う。



これって、かなりの贅沢だ。
俺は、かなりの幸せ者だな。


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