天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
楽しい夕食も終わり、今はケーキタイム。


里緒や紗英さんの小さい頃のアルバムを見たり、3人でゲームをしたりと笑いが絶えない。


だけど。



楽しい時間はあっという間に過ぎ、家に帰らなければならないタイムリミットが迫ってきた。


「もうこんな時間だ。俺、そろそろ帰ります。」

「そうなの?残念だわぁ。」

「私、送ってく!」

「いいって。」

「ダメ!だって、ほら…。帰り道危ないよ。そう、危ない!!」

「だったら、里緒のほうが危ないだろ?女の子なんだから。」

「うー、でもぉ…。」




俺たちのやり取りを聞いて、おばさんがクスリと笑った。


「夏目くん。ここは折れて、里緒の言うこときいてあげて。今日は里緒の誕生日だし。このままじゃ、朝になっちゃうわよ?駅までは電灯もあって、明るいし。それがダメなら、歩道橋まででも。」



おばさんにまで頼まれたなら、断れないな。


そうだよな。

今日は、里緒の誕生日。
お姫様の願いは叶えないと。



< 92 / 129 >

この作品をシェア

pagetop