灰色リリィ

少女




家へと続く道を、ゆっくりとした足取りで歩く。


さっきから心臓が激しく胸を打ち付けていて、治まらない。


風邪をひいたときみたいに顔が熱くて…いや。


体中が、熱い。


一歩踏み出すたびに、あの綺麗な灰色の記憶がどんどん鮮明になっていく。


鋭い瞳は怖かったけれど、笑うと八重歯が除いて可愛くて。


照れたようにちょっとだけ頬をそめて、ありがとうって笑ってくれたあの人が。



胸の中に、あたたかさを残してる。



……それが凄く心地よくて、安心する。




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