リミテッド
「伸~ちゃんっ!
来てるぞ、美・穂・ちゃ・んっ!」


後ろから洗い場に入ってきたホールの男子が、伸治をからかう。




―――えっ。



「悪りぃ、野沢っ、ちょっと洗い場代わって!」


伸治が慌てて手を拭きながらホールに出る。


「ちょっ、おいっ」


「あいつの過保護っぷりは、ほんとすげーよな」


キッチンの人たちが爆笑する中、あたし一人、笑えない。



「大丈夫だよ、伸治の一番は香奈ちゃんだから」


こそっと励ましてくれるのは、圭くん。


伸治の同級生で、あたしたちが付き合ってるのを知ってる、数少ないバイト仲間の一人。



そー…かなぁ…。


苦笑いしか出てこない。



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