リミテッド
「あ、あたし傘あるからさ、
美穂ちゃんに伸治の傘貸してあげても大丈夫だよ?」


だから、一緒に帰ろ?


でも、伸治は困った顔をする。


「だけどあいつ、風邪っぽかったから、一人で帰すの心配なんだよな…」


あたし…は?

遅い時間に一人で帰っても心配じゃないの?





なんか、むかつく。





頭の中で、何かがプツンって言った。


美穂ちゃん、美穂ちゃんって、
あの子だって、もう子どもじゃないんだよ!?
伸治がバイト早退してまで送っていくもの!?


そんなに美穂ちゃんが心配?
あたしなんかよりも大事?


バイト中だってことも忘れて、叫びそうになった。





でも…



でも、伸治の困った表情を前にしたら、
言えなかった。




今のあたし、すごい弱い。



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