リミテッド
いつもの駅の
いつもの場所で
彼を待つ。


あ!来た!


あたしを見つけて走ってくる彼の姿に、
付き合ってから半年以上経つって言うのに
こんなにもドキドキする。


前髪をパパッと整えて、にこっと…


「おはよ、伸治。」


「悪りぃ、香奈子!寝坊した。」


バツが悪そうに頭をかく伸治。


いけない、いけない、
“にこっ”のつもりが
“にへっ”て。
顔がだらしない。


だって、かっこいい上にかわいいなんて、
反則でしょ!?



「行くか!」


大きな手に包まれて歩き出す。


この手はあたしのもの。


ギュって握り返すと、伸治は首を傾けてにこって笑った。




…後1週間は。


< 3 / 73 >

この作品をシェア

pagetop