リミテッド
もう限界だった。


何か言ってたけど、そのまま電源を切って、バッグに放り込んだ。


さっきまで何ともなかった荷物が、ずしんと重さを主張してきた。




何も考えたくなくて、足を引きずるようにして、その場から歩き出した。


気付いたら夕焼けで赤く染まった部屋にいて、
ベッドに身を投げ出したら、
いつの間にか止まっていた涙が、
また溢れ出してきた。




美穂、美穂、美穂、美穂




いつでも伸治の生活の中心にいたのは、あたしじゃなくて美穂ちゃんだった。


気付くのが遅かった。




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