リミテッド
ガチャッ


「香奈―――…子」


初めて見る、必死な形相の伸治を、あたしはただ唖然と見上げていた。


何でここに?
やっぱり、夢?


ばさっ


伸治が持っていた上着が落ちる音がして、
あっと思った時には、あたしは伸治の腕の中にいた。


夢…じゃないみたい。
痛い。


息ができないくらい、強く抱きしめられて、
頭がおいつかなくて、
でも、なんだか伸治が悲しそうに感じて、背中をさすってみた。


「香奈子…」


ふっと力がゆるんで、目が合う。


あ…キス…される…。







「―――っやっ!!」





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