リミテッド
「香奈子、ほんと、ごめんな」


気持ちいい風に吹かれて、目を瞑っていたら、伸治が小さく言った。


「何が?」


横向きになって伸治を見上げる。


「俺がさ、いつも美穂のこと言ってなければ、あんなばかみたいな嘘、信じなかっただろ?
なんか、悪かったなって思って」


「ううん。
…あたしも、伸治に聞く勇気がなかったんだもん」


「勇気?」


「そ。
ずっとシスコンだって思ってたけど、ほんとのところはどうなのかなって。
それで、美穂ちゃんのことが好きって、伸治の口から聞くのが怖かったんだ」


「そっか」


伸治も横向きになって、ぎゅっと抱きしめてくれる。


「確かに、2人でいるときに、他の男の話されたら、俺だって嫌だな」


でしょ?

なんで今までそこに気付かなかったの?って思ったら、
くすくす笑いがこみ上げてきた。


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