リミテッド
「香奈子?」


伸治の呼ぶ声にはっとする。


「あ、ごめん、なに?」


「ううん。寝不足?
もうすぐ駅だよ。」


電車でほんの15分。

もう着いちゃう。
なんで伸治と同じ大学じゃないんだろ。


伸治の学校はさらに3駅先。


「じゃ、またバイトでな。」


「うん。」


「そんな寂しそうな顔すんなって。
学校まで送ろうか?」


ちょっと膨れたほっぺをつついて苦笑する。


「ん~~~っ!だめっ!
月曜日から遅刻しちゃダメっ!」


思わず頷きそうになって
慌てて電車から飛び降りる。


「またバイトでねっ!!」


おっきく手を振って見送る。


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