騎士戦争
「四部隊が戦闘するにあたって、そいつは必要不可欠な者か」
「いえ…そういうわけではありません」
小さく挙手し、発言したのは第四部隊隊長だ。
総団長の鋭い目から逃れるように語尾が小さくなっていく。
ロッシュが前の第2部隊を盗み見ると、彼もこちらを見ていたらしい。テネスから無言の会話を振られる。
──ほら、戦のハナシだ
──まだ分からないだろ
兄の第三部隊隊長、エラトスの方も目をやれば、彼は総団長たちの会話を真剣に聞いている模様。
「では問題ないな。…他の部隊は」
「動ける程度の傷だけだ」
ロッシュは探るように総団長の目を見た。
「第二部隊も、軽傷のみです」
「第三部隊も同じく」
首を振った9人に、総団長は機嫌良さげに爪をはじくと、本題へ向かうべく口を開いた。
小鳥が三羽、彼の後ろの小さな窓から見える。
「では、今回集まってもらった理由といこう。 隣国のオーディンに、近々戦争をしかけようと思う」
「…あ? ちょっと待ってくれ総団長!オーディンって言えば俺らと同じような規模の国だろ。勝てる見込みがあるのか」