騎士戦争


総団長に次いで発言権のある第一部隊隊長、ロッシュは語気を弱くした。


「今まで戦ってきた中で、私たちが負けたことなどあったか?」


言論が始まりそうな気配に、部屋の中は静かな不安に包まれる。


よりによって、なぜオーディンなのだ。

先日のミカキからの頼りない情報によれば冷血で非道なやつらだとか。

エディは、すがるように手元の資料を握った。


「1回か2回、あっただろ…。 待ってくれフェン──いや、失礼、総団長。負けに行くようなもんだろ?」


「なぜ負けるなどと思う、一部隊隊長。 さっき自分で言っただろう、軍部の規模はほぼ同じだ。

重要になってくるのは兵の質。私は敵に劣っているとは思えない」


部隊長と総団長のキツい眼差しがぶつかった。


これはまずいと周りは冷や汗をかく思いだったが、赤茶の髪がロッシュに賛成したことにより、空気がいくらかやわらかくなった。
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