騎士戦争
こんな沈黙の中だ、今までの会話も聞こえていたかもしれないが。
「オーディンの軍が見えるまで、まだ少し時間がある。それを使って、お前らには遠く離れた俺の故郷の話しをしてやろう。
気をそらすには持ってこいの話しだ」
珍しくフェンの言葉使いが荒く、おまけに彼の生まれがこの国ではないことに周囲は少しざわついた。
「あそこ(私の故郷)には人が作った神々の話しが多くあった。 その1つが、戦い好きの攻撃的な神について。名前はオーディンといった」
ロッシュは眉をひそめた。オーディンといえば、これから戦う相手の名だ。
「そいつは好きかってに人間や神に戦を仕かけ、やがては何百万という人を殺した」
残酷な表情がちらつく彼の声は、穏やかだ。
「それを怒ったオーディンより目上の神が、彼を呼び出し、そして約束をさせた。『もうだれも殺さない』というものだ」