騎士戦争


フェン──最後に部屋に顔をだした男はロッシュの友であり、彼の所属する騎士団の長だ。


「これだろう。部屋の前に落ちていたから届けようと……っ!?」


思って来たんだ、と言えなかった彼は後ろに数歩後ずさった。


視線の先には、瞳を輝かせるロッシュがある。


「あ…ありがとなフェン、いや、総団長!!また高い金払わなきゃいけないのかと無駄に焦った焦った!」


「離れろロッシュ!気持ち悪い!!」


抱きつかれたフェンは、離れたいがためにロッシュを組み伏せようと体を動かす。



ロッシュはそれに機転を利かせ、かがむと相手の脚を思い切り掴み、その間をくぐり抜け石造りの床をすべった。


忘れさられている部下は、自分の仕事を黙々とこなしていく。


「気持ち悪いとか友達に言うなよー、フェン。 それに、そういう小さな一言から仲間割れが起こるかもしれないぞ」
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