騎士戦争
真剣な表情に相手が小さくうなずけば、彼は意気揚々と語りはじめた。
「この前やったのミカキとの戦は規模が小さいうえに早く終わっただろ? だから俺が気晴らしにでも呑もうって言ったんだ、酒。ちょうどみんなの怪我も治ったし。
で、そしたらだんだん酔いがまわってきてよ、なんか鎧を着けようってことになって」
「前みたいに傷でもつけたらどうするつもりだったんだ」
部下ことエディは決まり悪そうに小さくなり、仕事を放って部屋を出て行くことにした。
正直、総団長は苦手なのだ。なるべく同じ空間に居たくはない。目が合う。
「ん、まあ、とにかく着たんだよ。 そしたら、ほら──俺の鎧って他のヤツと違って部分ごとにバラバラになりやすいだろ? ウロウロしてたら取れちまって」
この馬鹿、と心中で毒づく総団長は、長々とため息を吐いた。
そこでふと、友の部下のいないことに気づく。
しばし考えた末、何か資料を取りに行ったのかと勝手に解釈することにした。