騎士戦争
「けど、誇りない殺人でも意味はあるんだ。自分を守るための防衛だって、その一振りが“正当化”されるこの戦場で──」
確かにここでは敵を殺すことこそが正義。
敵なら、どんな殺しかたをしても責められない。
でもロッシュはいつか、こんな世はなくなればいいと願っている。
出会ったときは見下げたその空(から)に見えた背。
「あんたに出会えて、本当に良かった」
今 (別れるとき) のその背は、きちんと背負っていたたんだと思う。多分、ロッシュと同じようで違うそれを。
濡れた音を交えつつ、背を向けた金髪は走っていく。
妙な寂しさと温かさをもつこの胸でも、することは変わらないと、気を引き締めた。
仲間を助け、敵はきる。このさびれた剣で。
もう二度とあの男には会わないように、彼とは反対方向へ走った。