騎士戦争
英雄
やはり、戦は嫌いだと痛感した。
守る守ると言ったのは自分なのに、結局なにも守れなかった。
刃こぼれが進みに進み、今はただの大きな“物体”に成れ果てたそれは右手。
どこぞのオーディン兵から拝借した細身の剣は左手にある。
周りにいるのは、同じく疲れたような表情をした人がぽつりぽつり。
暗くなりかけた今では敵か判別しにくく、なるべく避けて行っているのが現状だ。
ふと、足下に何かあると分かったから眺めた。疲れたこの体では焦点さえも曖昧で揺れている。
──そこにあったのは、第一部隊の部下だった。
あいにくと五体満足な状態ではなく、ロッシュは独白する。
ごめんな、のただ一言を。
ここにはまた後日、部下の骨を拾いに来よう。
フェンと一緒に来ないと、方向音痴の自分はおそらくここまで1人来られない。
右のものを引きずり、部下さえも放置して、まだなお彼は歩く。