騎士戦争
ようやく足を止めた。
そこは戦場という亡骸置き場から離れた所であった。
がくりと膝をつく。
多少の草が生えているらしく、さわりと心地よく鳴っていた。
「……フェン…?」
いつものように、こいつだけはここに居て、無事かと思い込んでいた。
いつものように、どこか暖かみのある無表情で、声をかけてくれるのかと、思い込んでいた。
なのに、どうしてこうも、現実は残酷なのか。
「………フェンリル、総、団長……」
いくつかある死体の1つに手を伸ばしかけ、ひく。
触れたらきっと冷たい。
だから、その冷たさで、きっと理解してしまう。
彼が、死んだという事実を。
友人はしばし、涙を流さず。ただ呆然と、一人で空を見上げていた。