騎士戦争


   *



静かに部屋を開けると、フェンリルの目にくすんだ金髪が飛び込んできた。

ロッシュが扉のすぐそばに立っていた。


「準備はいいか」


「完璧」


ロッシュ達第一部隊は総団長を先頭にして並ぶ列に交じる。


そこで弱々しくロッシュの袖を引いたのは、第二部隊隊長だった。


「なあ、この召集についてなんか聞いてるか?」


「ああ」ロッシュは相手に歩調をあわせ、「何も聞いてない」そう陽気に答える。


「そうか…。俺さ、また戦でも始めるんだと思うんだ。その連絡じゃないか?」


「まだ先日のミカキとの戦で、皆疲れているのにか」


会話に割り込んできたのは第三部隊隊長。


二部隊長とは兄弟で、彼の方が兄である。
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