騎士戦争
「くどいねぇ、君も。前戦が近いからこそ、相手国――オリジンも長期戦にはしたくない。分かるかい?その分彼らは“本気”で攻める。
ぬるぬると長期戦だなんて言っていたら、その内に私たちの国は呑まれてしまう。
ウサギとカメ。地道な努力をしてカメが勝つ話だけどもね、私たちが相手するウサギは“昼寝をする余裕”もない死に体なんだ。
ああ、第一、徒競走なんかでもないか。いかにして、前を走る敵を蹴落とすかの童話だ」
「最早、童話じゃないと思うんだけどな……。確かに、全力で来るならこっちも本気出さなきゃいけねえけど」
どうにも腑に落ちない
喉に魚骨でも引っかかったよう
まあ、全軍の大将たるビギナーの策を拒否するわけにもいかないし
クロスの頭では猪突猛進しか思い浮かばない
「どうやら……まだ納得していないみたいだねぇ」
「別に……」
「嘘をつくの下手だよね、君は。顔に内事が出るとは……ああ、とても可愛い」
「っっ、お、俺は可愛くなんかないっ」