騎士戦争
オーディンという名は、最も古き戦の神の名だ
それを国名と用いるこの国家は武力で政権をたてている
武力による政権は理不尽なことこのうえないが、これほど支配し易く統一された国はないだろう
痛いのは嫌だ
そんな弱者は強者に従うしかなく、毎日のように理不尽さに嘆くのみだった
「クロス隊長。何故、戦争などしなくてはならないのでしょうか」
そうクロスの前に現れた男もその一人だった
銀の甲冑に身を包み、周りの外観に合わせた男
城壁前のこの場――これからいざ戦争に行くという時に男の言葉は情けないものだった