騎士戦争
「反応が良いよ。ともあれ、部下の納得がないままに事を進めるのは私としても忍びない。
では、少しだけ策を練ろう。なに、簡単な話だ。
一気に走り抜けるウサギを、後ろから噛みつこう」
「は……?」
「カメが噛みつくとは思わないウサギはひたすらに走る。後ろなどかえりみらずに。
本当は後ろにいるのは己を食らう獅子とも知らずに」
クロスの頭でも言いたいことは分かった
要は二手に別れようということ
前から進む者と、後ろに回り込む者
ひたすらにオーディン――ゴールを目指す奴らは後ろからの攻めにどう対策をとるのか
やってみる価値はあるなと思う
どう?と笑顔で聞く奴にはこくりと頷くしかなかった
敵軍を包囲しての陣型は長期戦には向かない
兵数が減るのだ
こちらとて本気を出さなければやられてしまう
本気ならば、一気に一掃するのが条理