騎士戦争
戦ったという事実がある
しかして、今こちらに向かう彼らはその負傷がまったく見受けられない
統合し、分かることが一つ
「強者揃いかよ、くそっ」
強いからこそ、彼らはああも立ち向かえる
手綱を握りしめ、前方の波を睨みつけていれば後ろがざわついた
皆、クロスと同じことを思ったよう
誰だって分かることだ
怖じ気づき、今にも帰りたいという弱音さえも聞こえてきた
「クロス隊長……」
歩兵の部下が自分を見上げる
言いたいことなどよく分かる表情
“やれるのか”
果たして、勝つことが出来るのか
果たして、生きて帰られるのか
クロスが先ほど感じた怯えをそのまま見せつけられたようだった
――それに
「怯えるな!負けることを考える奴がどうして勝つことが出来ようか!」
一喝したのは他でもないクロス自身だった