騎士戦争
「目を背けるな!怯むべき相手など前にはいない。前にあるは俺たちの獲物のみ!」
剣を抜く
高らかにあげて、己の意志を表した
「勝利は常に俺たちの剣にあることを忘れるな。痛みを受けたならば斬り返せ。同士が一人やられたならば、百の敵に制裁を与えろ。
最後までこの地に立ち続けるためにも、足を竦めるな!」
雄叫びに近い声はよく響いた
誰しもの耳にも入り、それは“己自身”とて例外じゃない
暗示めいたもの
クロスも人間だ、恐怖に臆することに何の驚きもない
だからこそ叫ぶ
その恐怖を否定し続けるその後ろ姿は獅子のように気高く
「弱者は斬り捨てろ!その剣は己が命のためだけに振るうがいい!」
灰色の世界の光になるほどにまばゆかった
「あ………あ、オオオオ!」
光が広がる
クロスのように剣を掲げていく者たち
叫び、恐怖を否定した彼らに最早人間という言葉は合わない