騎士戦争


(三)


「ああ、やってるねぇ」


馬の足を止め、ビギナーは耳を済ました


これから戦う者たちの第三者のようなこの位置でも聞こえてくるものは聞こえる


「ビギナー様……?」


先導する者が止まり、後方の兵士も止まるわけだが


――何故、ここで足を止めたのか


そう不信が詰まったのには時間がかからなかった


「早く回り込まなければ、同士たちが」


「焦りすぎだな、まったく。常日頃、余裕というのは身につけておくべきかと思うけどね」


「お言葉ですが、今は一刻の猶予も惜しまれる時で――」


「時は無限だ。その内の一刻がどうしてそう大切に思えるのかが私には分からないな」


ビギナーに話しかけた男の顔が歪む


話が合わない


焦るなというビギナーだが、その悠長な発言は更に兵士の焦燥感をあおる


――と、何名かの兵士が動き出した


「お前たち、ビギナー様の指示を待たれよ!」


振り向き、兵士は制止をする


言うならば、自分とてこの兵士たちのように急ぎたい気分だ


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