騎士戦争
「ビギナー様、参りましょう。このままでは陣型が崩れます」
「まあ、待っていなさい。もう間もなく、両軍がぶつかるんだ。それを達観するのはなかなかの一興だろう」
遠い地
目を細めなければ見えないそれだが、迫力はよく伝わる
両軍とも覇気があり、走る走る
「さて、今日は何人が死ぬか」
「ビギナー様……!」
痺れを切らした兵士
最早、陣型が崩れきっていた
黙りながら、列を見出す幾多の同士
ただ、進みはしなく列から出ただけのようだが
「お前たち、戻れ!」
「…………」
「戻れというのが分からぬか!」
怒鳴っても列を見出す兵士に変化はない
この幹部たる兵士だけでなく、同じ立場の者たちも戻れと言うが言うことを聞かず
「ビギナー様、兵が」
助け舟をと、男は言った
相変わらずの笑み、向ける視線は遠い地の獣たちへ
「戦争時、前にいる者しか見えなくなるのは君もよく知っているだろう」
「は……?」
「殺すか殺されるかの瀬戸際なんだ、いちいち相手のことなど構ってはいられず。そう、例えば――」