騎士戦争
それは、悲鳴すらもあげられない一時であった
男の一人が馬から落下する
落下という時点で、不時着した男の足が折れた
二時の方向まで曲がる足
気味悪いそれよりも――
「あ、ああっ」
更に気味悪いものが落ちた
魚を思い出す
目を見開いたまま、頭に包丁を下ろされたそれ
魚市場で豪快に包丁を振り下ろせば頭は飛ぶ
――もっとも
「ここで私が仲間の首を斬ろうが、誰も気づかない」
斬り方にしてみれば、“繊細”なものだった
返り血すらも浴びていない姿
ただつくのは鎌にある血のみで、その他大勢に悲鳴をあげさせるには充分だった
「ビギナー様、なにをっ」
叫び訴える
――間もなく、兵士が外側から崩れていった
整列した外側
列を乱した兵による犯行は至ってシンプル
斬り捨てる
錯乱し、まだ事態が飲み込めない奴らを容赦なく斬り捨てた