騎士戦争
(四)
いつの時も、戦争にあるのは“己”のみであった
騒々しいでは済まされない爆音
自分の叫びと相手の悲鳴が交差して、鼓膜ごと体を揺らがす
――戦争が始まった
初撃はどちらが先だったなど最早省みる猶予もない
ぶつかり、後は各々で攻め立てる
一人、三人、十、二十、三十――
秒針が刻むごとに八の命が消えるようなここは魔域だ
死の川、さながら三途の川にも近い
すぐそこにあるのは死
生きるために目の前の剣(死)を弾き返すが、次から次へと死神が手招きをしてくるこの状況
「行けえぇぇ!怯むな!」
響く、怒声
「片腕だろうとも突き進めっ!」
渡る、威勢
「我らの国を守るのだ!」
木霊す、叫び