騎士戦争
皆が皆、声をあげて己を奮い立たせていた
製鉄がぶつかる音以上に迫力あるそれは、大地の奥にまで届くであろう
だがしかし、勇ましい声はごく一部のこと
殆どが悲鳴となっていくのは、それ相応の者が死んだという意味を持つ
『帰ったら結婚するんだ』
『明日、ガキの誕生日なんだ』
『毎日世話かけたお袋に恩返しするんだ』
笑った仲間
つい先ほどのことだからよく思い出せる会話風景
それが今や、頭や胸を一突きにされた体となって思い出に残ろうとしていた
助け、られなかった
助けることなど出来ない
隣で死にそうになり、あまつさえ助けてと言う仲間をあえて無視をする
助けられない、助けることは出来ない、助けてはいけなかった
戦争をする者たち全てが、“殺すことでしか生きられなく”なっているのだから