騎士戦争
亀裂が入る
自分の血管が一つ切れた感覚を覚え
「生きているからには、まだ生きていたいんだっ!」
男を地に倒した
巨剣ごと男が手を地につける
その眼差しは有り得ないものでも見ているかのよう
チャンスだった、クロスにとっては
立っている自分、倒れた相手
自分の手には剣、相手は無防備
勝敗が決まった
ただし、戦争においての“勝敗”をクロスは果たしていない
とどめを刺さなかった
正しくは、刺せなかっただろうか
何の捻りもない
ただ思っただけ
“殺したくない”、と
今になってまた人を刺す怖さが出てきたわけではなく、本意は自分を“生かして”くれた男に借りを返した話
男の存在が気付かせてくれた己の存在理由
それがあるから死に損ない(クロス)を生かしてしまった
『生きているからには、まだ生きていたい』
死んでないのは生きている証