騎士戦争
そうして誰もいなくなった
(一)
酷いものだった
日は落ちて辺りは暗い
暗いならば灯りをともすのが人だが、ともせるものなどどこにも立っていなかった
誰もが死体
ただの野原が墓地となった今、立っているのが奇跡だった
逃げ出した者も中にはいるだろう
その臆病さが利口だと思えてしまうほど、ここは悲痛に溢れていた
「っ、は……!」
その場に立つのは金髪の男
剣を地に刺して杖代わりとした
剣を久々に人以外の物に刺した気がする
やっと呼吸が出来た気がする
そんな死と隣り合わせの緊迫状態を解放した彼はひたすらに呼吸を繰り返した
今の今まで降り続いている豪雨が微笑ましくも思う
冷たさも、人の血液を浴びた自分にとっては何のこともない
血は温かった
人の体温を奪い、自分の体温を保持したなれの果て