姫のさがしもの。
苦悩
―それから一週間後
「…でね、先週の土曜日ね、
川辺の大階段で
キスされそうになったの!
なのに直前になって
『やっぱだめだ』
とか言ってね、
結局キスしないの!
ありえないよ〜!」
…ただいま、優希に
先日のあらましを“説明中”。
否、“グチり中”・・・。
「でも、やっぱ宮岸さんって
姫夏のこと
好きだったんだねー。
よかった〜!
めでたいから、
今日は私のおごりだ〜」
「マジ?優希だいすき〜!」
…本日、金曜日。
仕事終わりに
“報告会”と称して
いつものおしゃれバー
『キューブ』で
ふたり飲み会中。
「でも、全然よくないの!
続きがあんのよ〜
聞いてよー!」
既に酔っぱらいの私。
愚痴は止まらない。
「その日のあとにも
実は何度も誘われて
川辺に行ってるの。」
「え?そうなの?
平日に?」
「そ。仕事終わりに。
月曜、水曜、木曜…
先週の土曜から数えたら
全部で4回!」
「すごいじゃん!
むこうから誘ってくるの?」
「うん、毎回むこうから
誘ってくるの!
それがムカつくの〜!」
「なんで?
嬉しいじゃん」
不思議そうに聞く優希。