姫のさがしもの。


間もなくして


「北川 姫夏さーん

お入りくださーい」


と呼ばれた。



「俺、ついてった方がいい?」


と、宮岸さんは聞く。


私は首を横に振った。


「大丈夫。

ちょっとだけ待ってて。」


そう言って私は
診察室へ。



先生は見るからに
優しそうな顔つきで

口調も非常にソフト。


「どうしたのかな?」


そう先生に聞かれて
私はこれまでのいきさつを
説明した。



―頭痛がひどくて
夜中に過呼吸を起こしたこと

―そのまま家に帰されたけど
ずっと息苦しいままだったこと

―また苦しくなるんじゃないかと
ずっと不安なこと



すると、先生は
私に質問した。



「苦しいってどんな感じ?」



「みぞおちがずっと
気持ち悪くて

不安な感じが
ずっとして

動悸がしてきて
だんだん呼吸が苦しくなって

ジタバタと動いていないと
我慢できないような

不安と苦しさです。

このまま意識を失うんじゃ
ないかなって思うような
そんな感じが

ずっと続くんです」



「ふむ…」



先生は腕組みをして
一息ついて

それからカルテに
ペンを走らせた。



そして、そのカルテを
先生は私に見せた。


「君の病気は

いわゆる『パニック障害』
というやつだね。

正式病名は
『不安障害』だね。」
< 468 / 544 >

この作品をシェア

pagetop