姫のさがしもの。


「宮岸さん…

ありがとう。


でも私、
『不安障害』っていう
病気なんだってさ。

いっぱい薬飲んでも
治すのに
最低半年もかかるんだって。」



私は、俯きながら

彼に先生から言われたことを
説明した。



宮岸さんは


「半年かかったって
治るんだろ?

大丈夫。

お薬が効かない時は
俺のこと呼んでよ。

いつでも姫夏のとこ
行ってあげるから」

と言ってくれた。



宮岸さんの言葉に
胸が熱くなる。



でも、

そうしている内にも
また症状が再発してしまった。


どんどんと息苦しくなってきた。




でも

宮岸さんを心配させたくなくて

私は精一杯の笑顔をつくった。


「一応、お薬飲んどくね」


そう言って、

もらったばかりの薬を
飲んだ。




冷や汗が流れる。



…早く

早くお薬効いて!!




「…姫夏。

しんどそうだな。
大丈夫か?」



宮岸さんは鋭い。



「ぜんぜん、

だ、大丈夫だよ!」



そう言いながらも

吐き気と動悸が
止まらない。



宮岸さんは
私の青ざめた顔を
じっと見つめた。

それから優しい口調で
私に言った。



「会社終わったら

姫夏ん家、行くから。
心配だからね。

だから、昼間だけ
なんとか頑張ってくれる?

ごめんな、ずっと
一緒にいてあげたいんだけど」



彼はそう言って
申し訳なさそうな顔をした。
< 470 / 544 >

この作品をシェア

pagetop