姫のさがしもの。
―30分後
チャイムが鳴って
ドアを開くと
またスーツ姿の
宮岸さんが立っていた。
彼を見るだけで
スーッと心が
穏やかになっていく。
彼は、私を見るなり
「うん、ちょっとは
元気そうだな。
しんどくなったら
いつでも車で
病院までつれていって
あげるから
安心して寝るんだよ」
そう言って、
私のおでこにキスをした。
それから二人で
ベッドの布団の中に
潜り込んだ。
宮岸さんの腕に包まれながら
目を閉じると
すごく落ち着けた。
暫く目を閉じていると
スースーと音が聞こえてきた。
…宮岸さん、寝ちゃった。
目を開けると
宮岸さんの寝顔が
すぐそこに。
…宮岸さん、ありがとう。
すっごく疲れてるはずなのに
うちまで来てくれて
本当にありがとう。
宮岸さんの寝顔を
見つめながら
私は思った。
…栄太とは別れよう。