姫のさがしもの。


チラリと運転中の
栄太の顔を横目で見る私。



彼は美しく整った顔立ちで

鼻筋の通ったその横顔は、
今でもつい見とれそうに
なってしまうほど。



暫く彼を見つめていると、


「ん?どうしたの?」


優しい優しい笑顔を
返してくる栄太。



普段はキュンとなる
その瞬間も

今日は私の胸を
ズキズキと痛ませるだけ。


「ううん、何でもない。」



私がそう答えると

栄太は急に思い出したように



「そういえば、姫夏。
体調はもう治ったの?」

と言った。



…『そういえば』って
何よ。


私の体調なんて

すっかり忘れちゃってたらしい
栄太に少し苛々。




「・・・私、

『不安障害』っていう
病気なんだってさ。

半年は治らないらしいよ。


…栄太は、どう思う?」




意地悪な質問をしたと
自分でも思う。


『どう思う?』なんて
聞かれても、困っちゃうよね?




案の定、少し
困り顔を見せる栄太。


でもすぐに彼は
ニッコリ笑って、こう言った。



「頑張ればすぐに
治るよー!
姫夏、がんばれ!

俺、応援するから。ね?」




…なんだろう。モヤモヤする。


頑張れなんて言われたくない。



頑張り過ぎてかかっちゃった
ココロの病気だもん。

私、まだ頑張らなきゃ
だめなの?



ねぇ、栄太は
何をしてくれるの?





…応援なんて、

要らない。
< 479 / 544 >

この作品をシェア

pagetop