姫のさがしもの。


フーッと大きく溜息をついた私。



…彼から
私の望む回答を引き出すことは
できないみたい。



宮岸さんなら…


頑張れなんて無責任な
言葉、言わないのにな・・・。



「はぁ。

おなかすいちゃったね。
ランチ食べにいこ?」



栄太に失望する気持ちを隠して
明るくそう言った私。



「うん、いいよ。

何食べたい?」



そう言った栄太は
とびっきりの笑顔で

私はなんだか
気分が悪くなりそうだった。




栄太には申し訳ないけど
私、あなたに
ガッカリしてるんだよ。


これが栄太の優しさなんだって
私、3年も一緒にいたから
よくわかってるんだけど…


宮岸さんの優しさの方が、
今の私には必要なの。




「…あ、あそこにしよ」



私が指定したのは

以前、和泉さんが
パスタが美味しいと言った
小さなイタリアンカフェ。



和泉さんが、その昔

仕事の取引先の女性と
付き合っていた
という話を聞いた場所。



…私も、そんな関係に

いつかは宮岸さんと
なれるのかな?
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