姫のさがしもの。
「なんかいい雰囲気の
店だねぇ」
そう言って、
鼻歌まじりに駐車する栄太。
栄太と居ても
私は宮岸さんのことばかり
頭に浮かべているというのに…
そんな私の気持ちとは裏腹に
今日の栄太は、なんだか
ご機嫌に見える。
すると栄太は
サイドブレーキを
ギッと引き上げながら
私にこう言った。
「今日は、
嬉しいニュースが
あるんだよ」
…嬉しいニュース?
『嬉しい』という感情からは
余りにもかけ離れた
今の私の気分。
でも、彼が
こんなに嬉しそうな
顔を観るのは久々かも。
―席についてから、
おもむろに聞く。
「嬉しいニュースって何?」
無表情で聞く私に
彼はニカッと笑って
こう答えた。
「就職先が決まりましたー!」