姫のさがしもの。
「え…?
そう…
そうなんだ!
おめでとう。
どこに決まったの?」
ちょっとビックリして
戸惑う私。
「今のバイト先の
スーパー『ジャルコ』だよ」
ブイサインの栄太。
満面の笑みを
浮かべている。
ジャルコは、
スーパー業界の中では
かなり大手のお店。
「すごいね、
うん、よかったね…」
なんとなく上の空で
答える私。
なんだかイヤな予感がして…
「あれ?嬉しくないの?
姫夏がずっと本当は
俺に再就職して
欲しがっててたの
知ってたよ。
しかも関西地区限定採用だから
転勤もないんだよ!」
胸がズキンと音を立てて
痛んだ。
…やっぱり!
彼は私のために
再就職したんだ。
しかも、今度は
転勤のない仕事先を。
イヤな予感は的中。
私がもう少し早くに
あなたに別れを告げて
ちゃんと解放してあげてたら
彼は他の就職先に
ついてたのかな…
その就職先は
私の為なのかな…
彼の再就職のニュースは、
私に重くのしかかった。
「栄太は…
ジャルコで満足?
もしも…
もしも私がいなくても
ジャルコに就職してた?」